陶芸粘土の塑像について

【このページは、近日開講予定の陶芸塑像ワークショップの為のポイントで、何か思いついたら追加して記入していきます。】

陶芸作品の制作にあたり、制作プロセスを全て担う人はあまり居ません。
それぞれのプロセスで得意な方が、得意なプロセスを担い制作します。
得意でないプロセスは、誰かに技術やサービスを委託したり、サービスや材料を買ったり請け負ったりします。
いろんな作業の一端を、それぞれの技術者が担って分業作業をすることが多いです。
しかし、作業が不得意なプロセスがあったとしても、自分が作りたいものを完成するには全ての行程の理解が必要です。

陶芸の制作プロセスは主に、以下のようにあります。
 ・釉薬や粘土など、素材を作る。(山を採掘し、加工する。)
 ・形を作る
   形を塑像する。(造形的な形を考える)
   道具を作る。(使いやすい形を考える)
 ・絵付けする。(釉薬や下絵の具に絵付け、泥化粧など)
 ・窯で焼く。(電気釜、ガス釜、灯油窯、薪窯の選択と焼成技術。不完全燃焼の還元、完全燃焼の酸化、炭化などの焼き方の選択。)

陶芸で彫刻的な形を塑像するメリット
 ・ブロンズ彫刻を作るより、リーズナブル。
 ・油粘土や紙粘土より、パーマネント。
 ・プラスチックやFRPより、エコ素材。

今回のワークショップでは、形を塑像することを重点的に考える作業です。
陶芸粘土の特性については以下に纏めました。
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※ 上の図に出てくる道具。筆、ハケ、ロープ、片面ダンボール、耳かき、ピンポン玉、ヤスリ、かきヘラ、アルミ細工カンナ切り弓。ここにある道具全て必要とは思いませんが、自分の作りたいものに合わせた道具が必要です。

絶対必要と思われる道具。
  粘土板(ベニヤ板がベスト)、霧吹き、ぞうきん、粘土ヘラになるもの(耳かきやドライバーなど代用できるものでも)

塑像についての注意点は
 ・菊練りはしたほうがよい。
 ・焼成によって、一割程度大きさがしぼむ。
 ・水分量や練り方や乾燥によって、陶芸粘土の固さをコントロールする。
   粘土の固さに合わせて、作りたい形を作る。 ←→ 作りたい形に合わせて、粘土の固さを作る。
 ・ひびや、割れること
   塑像時の注意
    しっかり接着出来ていない接点がある。塑像後に必要以上に触る。細い部分がある。
   焼成時の注意
    乾燥がしっかり出来ていない。粘土の中に気泡が大きい。焼成のスピードが速すぎる。など

作りたい人が、作りたい形を忠実に作るために、作品を作る為の道具を作ることがあります。
自分にあったヘラや切糸、型取りの為の石膏型や、同じ大きさの器を作るためのトンボなど
作ることがあります。今回のワークショップでは、そのような道具を教える予算と時間と用意ありません。もしも作りたいものがある場合、ワークショップの前に山内に連絡ください。メールでのやりとりがメインだと思われるので、連絡が早ければ早いほうが良いです。

以上のことを踏まえて、水分量と固さのコントロールということもあり
粘土を触ったりする前に、作りたいものの用途や寸法、作り方など
絵に描けるほど、イメージが決まっていたりしたほうが明快に作りやすくなります。
以下に基礎的な絵の描き方を図説します。

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塑像によって完成させる為と思えば、特別、絵として優れた絵を描く必要は全くありません。
ただ、粘土で形にしていく、ヒダやシワの数、前後関係、継ぎ目や特徴、構造上弱くなりそうな場所が
粘土で形を作る自分に判りやすく描けた方が、自分の為に良いです。
基本的な描写方法として、線を重視した描き方と、陰影や質感や空間感を重視した描き方がありますが
作業スピードと効率性を考えれば、線の描き方をしたほうがやりやすいです。
普通紙やコピー紙など、薄めの紙にトレースするように記入していくと、線の整理がしやすいです。
作りたいモデルに対して、忠実な形の大きさや向きをうまく描写する必要はあまりなく
形のディテールをなるべく書き込んだ方がよいです。

これが簡単な絵の描き方だとしても、それでも絵やイメージが作れない場合、
作りたいものの資料になる既成の写真や絵
真似して作りたいものの実物を、粘土の真横に置いて作っても良いとは思います。

作りたい形と、その形に合わせた作り方や必要な道具がイメージ出来て、
はじめて粘土に向かって偶然出来る質感や形や量感に驚きつつ何かが作れる気がするし
その逆は、ほとんどないように思います。

経験則がかなりものをいうところがあり
一つの作品をつくって、次の作品の作り方が見えてきます。
その逆に、今、目の前に出来てる作品は、
一つ前に考えて作っていて出来なかった物が、目の前に出来ているのかもしれません。
考えたものが、考えた通りに形になることは、全くありません。

サンプルの作品

サンプルの作品。形の構造のモデルです。10cm程度の大きさです。使用する予定の粘土を使ったもんです。焼成はしていません。

今回のワークショップの制作テーマは、作りたいものの(1)自由テーマ、または、(2)キャンドルポットをつくります。
キャンドルポットは、アロマキャンドルが入りそうな寸法です。形の構造的に、多肉植物や豆盆栽の植木鉢にも使えます。

材料・道具
 ・一人あたり使える粘土の大きさ、1kg程度 信楽赤土(再生土)
 ・動物図鑑、資料になりそうな写真など、エアキャップやダンボールなど梱包資材、筆、刷毛、ロープ、片面ダンボール、タオル、粘土板になるもの、霧吹き、切り弓、竹ひご、ゴミ袋などを用意します。

参加者が用意する道具
 ・作品資料になる本や写真や絵
 ・汚れて良い服装。ノート、霧ふき、雑巾(タオル可)、割り箸、竹籤、耳かき、マイナスドライバー、アイスキャンディのバー、いらない歯ブラシ、カッターなど

6/24 13時よりcriative hab 131にて、ワークショップを行います。はじめに一時間ほど説明し、18時まで作業します。
作品焼成は、くにたち自游工房で行います。
灯油窯で1250度程度でおこない焼き締めによって完成させます。
ワークショップの一ヶ月程度あとに焼成予定で、
九月頃に、くにたち自游工房と、criative hab 131、二カ所で作品を返却する予定です。

This entry was written by admin , posted on 土曜日 4月 28 2012at 05:04 am , filed under days, memo, text . Bookmark the permalink . Post a comment below or leave a trackback: Trackback URL.

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