野焼き(炭焼き)陶芸の制作メモ no.1

最近、たまにやっている炭焼きの陶芸の陶芸方法について問われるので、技法として比較的難易度が低いので、作り方をまとめておきます。

野焼き(炭焼き)陶芸のメモ

だいたい、1~2kgぐらいの分量で一人一回分程度の材料の見積もりです。

(1)制作注意として、一度粘土の中身に気泡があるかもしれないため、よく粘土を練ってください。形を作るとき、空気の気泡を抜くため、粘土を強く練り押さえ、気泡を潰してください。気泡がもしも入ったら焼く場合、割れる原因になります。

(2)形を作る場合、形を掘り出したり、切り抜いたりして作るのがコツです、貼り合わせる部分はなるべく減らしたほうが良いでしょう。皿のようなもの、根付けや小さめの人形、パイプ、豆盆栽や多肉などの小さめの鉢、レリーフタイルなどが作りやすいでしょう。素焼きでは水がもれたり、染みたりしやすいから、コップなど、水を受け止めるものは不向きかもしれません。最初は5cm程度の大きさのものから始めた方がよいです。1kg粘土をそのまま使って、やや大きめのものを作る場合は、電気窯で800c~900c程度で、一度焼いた方が良いかもしれません。この方法だと、厚みが1-2cm程度になってくると、割れることが多いようです。”かきべら“というヘラをかきだしに使ったり、細かい塑像に、爪楊枝や耳かきを使うと便利なときがあります。

(3)一度、形が出来たら、なるべく触ったり落とさないようにしてください。お子様に作ってもらうときは、粘土板や雑誌や板やダンボールの上で作らせて、出来たら板ごと手が届かないところに隠すのがよいとは思う。

(4)乾燥は、十分に白っぽく乾くまで、乾燥させてください。時間が足りない場合、オーブンやホットプレートを使って乾かしてください。

(5)灯油缶でなくともペール缶でもいいです。1kg?2kgの粘土で作ったものに対して、缶一つ程度で焼くのが目安。灯油缶に穴を開ける場合、こちらのページの開け方を参考にしてください。結構いっぱい穴をあける必要があります。

【野焼き陶芸】一斗缶の穴開けイメージ(349mm x 238mm x 238mm)

(6)火はゆっくりと炭にゆっくりと燃え広がるように火を付けてください。大きなものはなるべく火元から遠い場所においたり、電気窯で下焼きしたほうが、割れる心配が減る場合があります。

(7)炭の目安は、灯油缶一つに12kg程度の炭があれば十分。粘土の塊の空洞を含めた容積の3~4倍程度必要です。粘土の大きさ形にもよりますが、缶の底から1/3程度の高さまで炭だけ詰めてください。

R0022990R0022965

(8)一回で焼く目安は、だいたい八時間。六時間目で粘土と炭を追加して12時間ぐらい焼くこともあります。ついでに、バーベキューなど熱を使った食事をする場合は、着火から3~4時間程度あとが火力が強くなるので、食事の3~4時間前に着火すると丁度よいです。燃え尽きたら終了です。

(9)炭化焼成。部分的に焼け焦げたような風合いをつけることもできます。焼けた粘土が高温のうちに窯から取り出し、不燃性容器に、もみがらや、枯れ草、紙くずなどを入れた状態に、焼けた粘土を容器に入れ、蓋を締め、冷却すれば炭化焼成のディテールを作ることも出来ます。

IMG_0334IMG_0336IMG_0340IMG_0343IMG_0346R0023077

※炭焼き陶芸をしながら出来ること、バーバキュー、花炭づくりなど
※粘土を塑像する場合、石膏の型を作って使う方法もあります、その利点は、複数同じものを作れる、必要以上に粘土が厚くならない(焼くとき割れにくい)、手びねりだと乾燥と塑像のタイミングの訓練がいる。欠点は、めんどくさいことです。油粘土で原型を作り、石膏で型をつくります。
※この方法だと800~1000℃くらいしか温度が上げられません。基本素焼きです。低い温度で溶ける釉薬を使いたいときは楽焼き釉薬を使ってください。ブロワーを使うともう少し高い温度が上げられるかもしれません。

20110704-172135-dpx

集団でワークショップのスタイルでやる場合

  • 作業で大変なののは、【焼く場所を探す(場所) > 缶に穴をあける・炭の準備(道具) > 粘土をつくる(作品)】 という順番だと思います。
  • 初めてやる場合が一番経費や作業時間がかかります。
  • 初めてやる場合、参加者は一人あたりの費用として、場所に費用がかかるなら場所代+炭の価格+焼却用の缶の費用+粘土の費用(+バーベキューなど、プラスα)
  • 単純に考えて、10人程度で行う場合、車が必要になるかもしれません。
  • 焼却用の缶に穴を開ける作業は、数時間かかるのが想像つくので、粘土を焼くときに穴をあける作業は控えたほうが良いです。事前に用意したほうが良いです。
  • 焼却する場所は、バーベキュー場などが好ましいですが、10時間以上使える場所が良いです(一般によくあるBBQ場では、午前10時から16時までなど、6~7時間程度しか使えないところが多いです)
  • 焼く作業は、二日間見積もり、一日目は準備(缶に穴を開ける、炭を用意する、バーベキューの準備をする)、二日目に焼くというふうに考えた方が良いかもしれません。
  • 焼ける日程と場所が決まってから、粘土で何かつくったほうが良いです。
  • 初回は、割れたり失敗する可能性がかなり高いです。
  • 初回の参加費を見積もるなら、一人あたり、窯にする缶代、10kg程度の炭代、1~2kgの粘土代で、3000円程度(工夫や環境によって価格を下げることも出来ます)。
  • 粘土を作る作業は、1~2日で完成させて1~2週間乾燥させてください。焼く作業は、二日間見積もり、一日目は準備(缶に穴を開ける、炭を用意する、バーベキューの準備をする)、二日目に焼くというふうに考えた方が良いかもしれません。二日目は火の様子を見ること以外はかなり退屈になるので、バーベキューをしたり、ボードゲームなど時間を潰せる準備をしたほうが良いかもしれません。時間を短縮させる場合、1日目午前中で何かを作り、午後は作ったものをホットプレートで乾燥させてながら、適度に炭を割って用意する。二日目に焼くことも出来ますが、スケジュールがかなりタイトになるので、初めての場合あまり勧めません。
      三日プラン。一日目粘土成形。数週間後、準備の二日目、炭を割る、窯を準備する、バーベキューの準備をする。三日目、焼く。必要なもの。最寄りの倉庫、火の使える場所。
      二日プラン。一日目粘土成形、そして、フライパンやオーブンやホットプレートで数時間乾燥、炭を割る、窯を準備する、バーベキューの準備をする。二日目焼く。必要なもの、ホットプレート、最寄りの倉庫、火の使える場所。
      一日プラン。9時集合、二時間で粘土の成形。11時から粘土をホットプレートで2時間乾燥、平行して、炭と窯の準備。二時から焚きだし、夕食はバーベキュウー。22時頃解散。必要なもの、ホットプレート、火の使える場所。四?五人以上の参加者が必要で、時間短縮の為、ホットプレートや、ドリルや金槌は何個もいるでしょう。
  • 焼却用ドラム缶が使える場合、集団では、かなりやりやすくなるとは思います。大きめのU字溝を組んでも窯が作れます。
    U字溝の窯。仕組みは七輪焼きと同じ。バーベキュー場かりるか作るか迷ったけど、結局作った。仕組みは簡単だけど、どちらにしろ大変だった。

    費用のコストダウンや、作業時間短縮のコツ

  • 缶は廃材を使うと安い。
  • 住んでるところから遠くない場所をみつける
  • なるべく場所代を抑える。会場費がある場合、人数を増やして分割する。
  • 塑像するときは、粘土を触りながら形を考えない、粘土を触る前に形を決める。
  • 一回で終わらせない。

    焼き物とは

  • 粘土に火をくぐらせて、焼き上げるので、パンやクッキーやピザを焼くのとあまり変わりません。少し難しいパンやクッキーの焼き方と思ったほうがいいです。
  • 形や用途やアイディアが面白いというのと、割れていないとか綺麗とか技術的な高さは別の問題とは思います。

    IMG_0100IMG_0440IMG_0433IMG_0415

    素材や炭選び

  • ある程度、大きさや数をつくるようになると、陶芸素材の専門サイトからインターネット通販で注文すると自宅まで届けてくれるし、いろんな土を選べて良いのですが、最初は、画材屋さんにある、1kgパックの、はにわ粘土(テラコッタ)や、信楽粘土などで十分だとは思います。炭は特に拘る必要がないとは思います。

    粘土の配合

  • 採掘した粘土を見分けたり、土練機が使える場合、古典的な土器を作ることも出来ます。
  • 既成の粘土を使う場合、オガクズ、ピートモス、ケト土など有機物の燃えるものを含ませると、断熱効果で割れにくく、軽く、もろくすることも出来ます。
  • 砂、シャモット、園芸材料のバーミキュライトは雲母なのですが、いろんな鉱物をまぜるのも良いと思います。
  • 混合割合として、作るのの大きさにもよりますが、有機物など燃えるものは、40%ぐらいまで。有機物や鉱物など粘土の中で、粒子の荒いもの割合は40%までが、自分の目安です。しかし、大きなもの、手捻り、小さなもの、ろくろと、作るものによって、粘土の粒子の大きさと、鉱物の配合は、調整したほうがいいと思います。
    This entry was written by admin , posted on 月曜日 10月 24 2011at 10:10 pm , filed under ceramic, making, memo and tagged , , . Bookmark the permalink . Post a comment below or leave a trackback: Trackback URL.

    Comments are closed.