山内崇嗣/東京/伊藤忠ギャラリー7月21日-8月23日
2000|takashi yamauchi|itochu gallery
- 新人画家、山内の意欲的な個展。
- 室内を楽しく飾りつけた。山内による、「何処にもないお部屋」。
- もちろん女王たちは、居る。布地を使って、その模様を油で描く絵だ。
- ポップでもない。ネオ・ジオでもない。
- 既製品を選んで、描いて、「飾りつける」。過去へのフェティッシュな退行か?物品の招魂か?ちがう。絵画だ。じゃ、絵画って何?
- 皮膜のことだろ? 何の? 世界と身体のあいだの!しかも眼に仮託した!
- それが、記憶の海を泳ぐ身体。私と公の鏡に見えた。たぐい稀な。だから美術。その肉体の危うさ。愛おしさ。
- 多くの人を楽しませた。画廊も思い切った。
- 奇しくも2年前、卒業して昭和シェル石油現代美術賞を獲った。卒業制作は、小さな部屋に絵を飾りつけた。
- ぴったりと絵が呼吸する。貼りついてくる。剥がれる。そして追いかけてくる。
- この空気感。おもしろい。肌に染みついて来る。人をそらさない。
- 空間が身体。匂いや空気にこだわる。そんな、職人気質のアーティストがいる。
- ピンクやブルーの、チェック模様の布地。そして、身の回りのお茶碗。写真に撮って焼きつける。オレンジ色の、ビニールの、テーブル・クロス。
- 記憶の海に、また「私の模様」を描く。
- 五感を揺さぶる触覚が命。皺と染み。ほつれるモノ、汗ばむモノ。それをクールに描く。
- 科学者的な錬金術。その果ての、ほんの、淡い、フェティッシュの残り香。
- 俺も、レゴ・ブロックは捨てたくはない。大人になっても。夢に見る。棺おけに入れてもらう物品のひとつ。だが、もう無い。
- こんなやり方、知らなかった。
- 山内、ガンバレ !(オリンピックみたい)。
- 新見隆(武蔵野美術大学芸術文化学科教授)
- 美術手帳 P.168 美術出版社(NOVEMBER/2000)