食べられる土器“ドッキー”をつくりました。
今年は、思った以上に研究系の考古学系の話を読んだり話を聞く機会が多い。なんとなく東京国立博物館や地元の郷土館で古物を見たり、今和次郎がエドワード・S・モースなどの話から色々着想を得ていただろうと想像しても、専門の方のお話を直接きく機会が多く思った以上に発見がある。
シブヤ大学の授業
「食べられる土器“ドッキー”をつくる!自分史を土器化する可笑し(お菓子)な考古学教室」
講師 下島綾美 [ おかし作り考古学者 ]
幡ヶ谷社会教育館
http://www.shibuya-univ.net/classes/detail/1211
下島さんは、弥生時代研究をされながら、一般の方に教育普及としてお菓子作りを通した考古学の理解をすすめているそうです。
自分も、過去に、展覧会の集客や動員などのプログラムで、土器や陶器のようなクッキーを作って出したことも有る。
食材を通したプログラムは、作るワークショップとして、参加費を安く設定しやすく、親しみやすい、また料理というのは知財として意匠権や著作権が無いというのも面白い。自分は、参加しやすく有意義なワークショップの開き方というのも参考にしたく、このワークショップに参加しました。
手際の良さとして、幡ヶ谷社会教育館は「調理室」で開かれた、公共施設で借りやすくオーブンが複数台ある。
基本的な作り方は、クックパッドでレシピが公開されています。
http://cookpad.com/recipe/2876550
最初は、土器の話から始まり、いろんな様式や歴史設定の話など、普通に勉強になりました。下島さんのお話では、土器の検証には、模様、粘土、混和剤を検証することから観察がはじまるとの事。
混和剤というのは、土器づくりで言うところの、砂、鉱物、粘りを作る微生物、植物繊維など、そういうことは土器作家の方は色々考えるでしょう。僕も工夫しています。
考古学の方が、土器片を見たとき、割れ目に、黒い部分を見つける、焼成の不完全燃焼で、粘土が炭化する部分。
その部分を着目して、簡素なクッキー生地、竹炭で黒くした生地で挟んで再現されていました。
土器の様式だけでなく、素材のディテールに着目する視線の丁寧さも良かったし、竹炭という炭を混ぜてるのも面白かった。
クッキーで再現する場合、土器の混和剤をイメージに、色、味などの観点で、三温糖 キナコ どんぐり粉 ココア 着色剤 カレー粉 モロヘイヤ ゆかり 紅茶葉 すりごま アオサ けしの実 エゴマ 竹炭 ミロ ハッピーパウダー(ハッピーターン)イカの燻製など
豊富な混和剤に、体を強くしたいミロ、幸せになりたいハッピーパウダーなど、発想の飛躍も面白かった。
下島さんの参考制作でも、下島さんさんは、お酒が好きらしく、カレーパウダー、イカの燻製、ハッピーパウダーなど混ぜて、酒のツマミのようなクッキーも作っていました。
土器の地域的な特徴も大事にしていて、クッキーを作るその人なりの形も大事に提案されていました。
参加者の制作物も、講師のモデル制作に合わせたもの、埴輪や土偶など古典的有名な作品にあわせたもの、富士山・市章・ト音記号・鳥・広島カープなど、それぞれの参加者の方の関心や境遇に合わせた創作的な形も見ていて面白かった。
自分は、事前に自分の経験から、何をどうやって作るか?事前にイメージトレーニングして
「おゆまる」を使って自分の土偶からクッキー型をおこしたり
チョコレートや、駄菓子のモロッコヨーグルの容器から型を抜いたり、出来た壺状のクッキーに、草を植えたりしました。
クッキーで型抜きする場合に、かなり小麦粉や粉を多く含ませる必要があることはわかった。
小麦粉や粉を多く含ませたことから、以前、陶芸の須恵器の制作など、紐作りで成形し、内側に当板をして外側から叩き板で叩いて土を締める。「タタキ」という技法が有り
タタキというのは、模様を残すだけでなく、低温度で焼きつつも土器の粘土密度をあげて強くする技法だと聞いたことがあり、制作技法の理解もすすみました。タタキの強さは、押し当てる型抜きや、ヒモで痕をのせる技法、土偶土器の研磨などにも関係はあると思います。
参加費や、経費、授業内容など、結構持ち出しになってることも感じましたが、生徒としての参加としては、大変満足できる授業でした。