ひいちゃんからの手紙

2013年3月に国立市でおこなったくにたち冬芽まちあるき、このイベント後に、数人参加頂いたお子さんがいて、そのときに親御さんに、僕からのお願いで、何かしらの二次使用を前提に、冬芽の絵を描いて頂きました。
また、郵送で作品を頂いたら僕が御礼に絵手紙を返すかたちで、最初は僕も考えていました。

さらに、参加頂いた子の中で、ひいちゃんという小学校低学年の女の子が、どんどん色々送ってくれて、僕も凄く面白く、お互い出来る都合とタイミングで、いろいろ送りあったりして、僕も色々アイディアやヒントを教わったりしています。

アキニレ ht_10
ふなのりきぶん サンショウえき オニグルミえきゆき
ふゆめまる。まず最初に送られてきた絵。封筒にどっさり入っていました。船、そうか冬芽は、船に乗るのかと。 サンショウ駅。最初に送られてきた絵。冬芽は電車で移動するのかと。みどりの窓口も、あります。
20130318 5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view)
ポストカードぐらいの紙に、ボールペンで描きました。画風や内容として何時の時代、恐竜がいたり、飛行機が飛んでいたり、何処の風景か判りにくい様式で、太陽の塔を「ふゆめの塔」として紹介して、「ふゆめまる」を描き入れたり、裏側に、アレクサンダー大王がワクワクの木を見つけたとか、そういう話を描きました。 僕が送ったポストカードから、彼女が色々ストーリーを想像したようで絵本を書いてくれました。それをお話を編集したり製本し直して送りました。タイトルは「おおきな おおきな ふゆめのとう」アレクサンダー大王や、冬芽の塔がでてきます。
20130427 ふゆめ きょうだい lite (white)
最初に送られてきた「ふゆめまる」絵本にも出てきて印象的だったので、陶芸で船を作って送りました。 「ふゆめのきょうだい」彼女の絵本の主役のキャラクターです。アジサイの冬芽のようです。絵本に書かれた絵を元に、Tシャツ図案を考えました。現在TEEPARTYで誰でもオーダー出来ます。
IMG_4897 tarayou_20130702
タラヨウという木が「葉書の木」「郵便局の木」と言われるようで、引っ掻いたら便箋になることを教わりました。 そこから、僕も送り返してみました。更に住所を書き入れて、定形外郵便120円の切手を貼って送ると送れるようです。切手を含め記入出来る場所がせまいので、そこに住所と内容を書くのに少々苦労します。

お手紙で、最初「ふゆめのとう(太陽の塔)」を紹介したとき。ひいちゃん自身も、岡本太郎の太陽の塔のことは知るまいと思っていました。当時は知らなかったようですが、その後、太陽の塔の内部を来年度公開の最近のニュースを新聞で見つけたようで、現実に行けそうなところにあるんだと知って驚いていたようです。ちなみに、ひいちゃん好きな食べ物は、キクラゲだそうです。

僕も、出来た物が、いろいろ面白いなとおもいつつ、彼女もインターネットをしない小学校低学年で、お手紙という媒体メインで、どのくらい公開して良い話題が迷いますが、最近こういう出来事があります。

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5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (展示風景 VIEW)

5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view) 5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view) 5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view)
5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view) 330x407mm 2013/06/08 330x407mm 2013/06/12
5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view) 5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view) 5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view)
727x606mm 05/04/2013 5周年記念 LET’EM IN 文化祭 (view) 727x606mm 01/04/2013

5周年記念 LET’EM IN 文化祭 6/21(金)〜30(日) #kunitachi
http://www.flickr.com/photos/takashiyamauchi/sets/72157634406483623/show/ (slide show)

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この胡桃は、この胡桃である。

宮部金吾、工藤祐舜、須崎忠助「北海道主要樹木図譜」(1920-1930)

宮部金吾、工藤祐舜、須崎忠助「北海道主要樹木図譜」(1920-1930)

そもそも僕が胡桃という木に興味をもったのは、冬芽とよばれる部分のユニークさと、比較的どこででも見つけられる、紹介しやすい題材として興味をもちました。 もともと植物には全く興味が無く、目黒の駒場野公園自然観察舎でおこなわれる駒場野自然クラブでの定例活動に一年以上参加して、植物や自然や食べ物の面白さを色々知りました。観察舎に通い出した頃は、観察舎で紹介される植物を、その他の場所で見つけることは出来ませんでした。観察舎に通って直ぐに長新太の名作絵本「ふゆめ がっしょうだん」や標本で、冬芽のことを教わりました。初夏のシーズンで、冬芽をすごくみたいなと思いつつ冬芽のシーズンオフを過ごし、胡桃の木は無いものか?と一生懸命探しましたが、自宅付近で見つけることはできず、冬芽の形も思うように実物を見つけられず、もんもんとイメージを膨らませていました。その期間に検索したり、菱山忠三郎先生の「樹木の冬芽図鑑」を買ったりして、イメージを膨らませていました。当時は、見たくて見られなくて、とても残念だったけど、いまでは色々調べたりイメージを膨らませていたのがとても良かったようにおもいます。

その後、ある程度、植物の知識と経験できる時間がたって、ある程度わかることも増えました。また、ものを調べる技術もある程度ついて、興味や関心が現在に継続しています。

 

冬芽と胡桃

顔とはどんなものか?と思ったとき、頭の一部の器官だとか、喜怒哀楽の表情を表すとか、何か別のものに似て見えるとか、顔のように見えるけど顔の器官機能はないとか、そのような発想を冬芽を見たとき感じます。一つのことをじっくり見たり、調べるだけでも、思いもよらない世界が広がることがあります。そのような、物の見方、調べ方、感じ方を、胡桃の木について調べてみたいと感じています。

関係あるもの

くるみの木について調べていくと、生態系、くらし、文学、科学、様々な物事に出会いました。

  • 生態系
    • 胡桃の木には、オニグルミ、ヒメグルミ、カシグルミ、サワグルミ、テウチグルミなど種類があり、おなじ胡桃の種類であれ、実のかたちや堅さ、冬芽のかたちなど、かなり違う物もあり、比べると同じ種類には見えないものもあります。
    • 昆虫には、この植物に対してこの虫といった食草という関係があり、探したい虫がある場合、その虫の好む植物をしることで、その昆虫をみつけやすくなることがあります。オニグルミの場合、木には、オニグルミノキモンカミキリやオニグルミノトゲアブラムシなど住み着き、葉には、エゾスズメガの幼虫や、マスダクロホシタマムシ、クルミハムシなど近寄ります。またクルミハムシはカメノコテントウの餌になりやすいです。実は、リスが好んで食べますし、カラスが高いところから落としたり、道路に胡桃の実を置いて、殻を割って食べたりもします
    • オニグルミノキモンカミキリ Menesia flavotecta HEYDEN マスダクロホシタマムシ Ovalisia vivata(Lewis) クルミハムシ Gastrolina depressa BALY カメノコテントウ Aiolocaria hexaspilota(Hope)
  • くらし

    山崎斌「日本固有草木染色譜」(1933) p32

    山崎斌「日本固有草木染色譜」(1933) p32

    • 食材として、胡桃の核果はクルミパンなど様々な料理に使われます。またイタリアの果実酒ノチェロ(ノチーノ)の材料になったり、胡桃のホダ木はナメコを栽培することにも使われます。道具や材料として、材木はいうまでもなく良木の材木として家具などに加工され、果皮は茶色の天然染料の材料として、樹皮は皮細工の材料として籠やザルなど作られ、更に殆どの材木は燃料にもなります。
    • 胡桃の皮籠 6/23 おにぐるみ収穫
  • 文学
    • 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』では、長い時間や歴史の流れをかんじるモチーフとして、くるみの化石を見つけるシーンがあります。
    • 「胡桃割る 胡桃の中に 使わぬ部屋」鷹羽狩行
    • 向田邦子『胡桃の部屋』では、浮気をされた女の気持ちの描写に、先の鷹羽狩行の句が引用されています。

もしも、この世から、胡桃という植物が絶滅したとすれば、昆虫や動物、料理のレシピ、職人技術にも影響がでます。そのとき、胡桃に属性が近い樹木に素材が置き換わったり。失われる生物や技術もあります。

16/11/2012

関係ないもの

オニグルミの冬芽をじっくりと見ていると、帽子を被ったヒトのようにも見えてくるし、羊や猿のような顔にも見えてくる。もちろん、生物学的に関係なく、ヒトから胡桃の木は産まれないし、羊から胡桃の木は産まれません。しかし、デッサンの様な描写でなく、似顔絵のような描写方法、特徴をかんじるポイントが、形が似ていると感じる形同士造形的な関係を感じるときがあります。

selfport (1994) 727x606mm 01/04/2013 727x500mm 15/06/2012 727x606mm 05/04/2013

胡桃の冬芽をみてから、ワクワクの木のエピソードや絵を知ると、冬芽の形がワクワクの木のように見えてくることがあります。しかし、冬芽の造形と、ワクワクの木の形は、なにも関係がありません。

エルラド・ド・ランズブール「悦楽の園」(12世紀末?1205頃) 「シャー・ナーメ」写本ミニアチュア(15世紀頃)

17世紀後半の画家シャルル・ル・ブランの動物観相学の研究によれば、動物の気性やキャラクターを読みとり、人物描写の際に、動物の特徴と人物の顔形を、現在でいうところのモーフィングのように重ねると、人物画モデルの性格も、動物の表情や気性をかさねて考えていたところがある。その考え方を延長できるなら、何か無機物であれ、二つの目ひとつの口を感じる三点の何かがあったとして表情を読みとるとき無機物に動物のような性格や気性を感じてしまうことがある。性格とか何か共通の何かを感じる別々のものに、全く関係性を見いだせないことはあります。

ルブラン-梟 ルブラン-駱駝

雑木・折衷 / 銘木・国粋
日本でもたくさん生えているシナサワグルミの原産は中国。カシグルミは、ペルシャグルミの変種。ヒメグルミはオニグルミの変種。また日本から渡ったクズという植物は、アメリカでは広域で生息しています。
文化でいうところの日本ならではと思われてる様式も、ルーツ的には中国や韓国によりものだったり、明治維新後の国際化や第二次大戦後のアメリカによって捏造された国粋様式であります。国内でしか作られない様式、例えば、歌謡曲、美術の洋画、洋食、洋館、「昭和」の文化と言われるもの、そういうものに一種の国粋性を読まれることもあるのなら、生物環境でいう、日本に生息する外来種や帰化植物も国内独自の生存環境を作っていくことにもそのようなプロセスがあるのでしょう。「君が代」という曲のの出発点は外国人の作曲家のよるイギリス民謡のメロディがルーツといわれます。
注意すべきは、外来種や、舶来文化が、現地を植民地として駆逐するから危険だという話は、必ずしも言いがたく。バランス環境をどうやって組み立てていくか?生態系や文化環境を組み立てていくか?というところがあり、そういうのが長い目で一種のローカルな国産種や国粋文化に繋がってゆきます。カレーライスや、お寿司、ラーメン、トンカツや、カステラのように。

置き換えについて(←後で記述。)

イメージ
このクルミは、このクルミであると感じることが出来るとき、その素材そのものがもつ特徴、周辺に付随する生物や技法や品物、クルミとは関係ないもののクルミを想像してしまうもの。その全てがイメージを作っているように感じます。 あと、もののみかたというものを考えたとき、今回はクルミについて情報の解像度を上げて、調べるだけ感じるだけでも、非常に豊かな世界を見ることができることに気づかされます。それは、地域や、時間、人、物にも同じようなことがいえて、情報の解像度を上げると、感性の豊かさにたどり着けるのではないか?と考えて制作しており、ものごとの豊かさに気づける、みかたを提案したいと考えています。

 

参考文献

(この項、時々、訂正しなおし続けると思います。)

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